品質管理の仕事は、いわゆる「縁の下の力持ち」のような存在です。「縁の下」にいるので周囲から見えにくいわけですが、「力持ち」であることは間違いなく、製品の安全やクオリティーを支える大きな力です。工場の日常的な生産にも新製品の開発にも関わりますが、品質管理担当者は、直接のプレイヤーではありません。開発部門や製造部門がプレイヤーだとすれば、我々はマネージャー的な立場になります。ビジネスの世界の「管理者」「マネジメント」というより、スポーツのマネージャーに近い。監督でも選手でもなく、マネージャー。表舞台には出ず、チームをサポートする仕事です。一方で、「審判」でもあります。品質管理は、製品が市場に出る前の「最後の砦」といった一面もある。新製品でも我々が「NO」と言えば、それは世に出すことはできません。そのジャッジを下すポジションです。それはやりがいである一方、重い責任と正確な判断力が求められます。自分の判断を他社に納得してもらえる説明能力も必要です。
現在私は原料担当なので、週1回のペースで実際に原料メーカーさんに足を運び、先方の製造方法や品質管理を確認、もし問題があるなら、指導します。調達先は国外にもありますので、海外出張にも出向きます。品質管理者には、調整能力も欠かせない要件です。マネージャーは、プレイヤーに命令するのではなく、行動を促していく。そこには、「調和」が肝心です。人と人、人と機械のハーモニーがとれ、はじめて品質が維持できる。そういう意味では「コンダクター」の側面もあるかもしれません。基本は、日常のコミュにケーション。工場には製造に携わる大勢の人たちがいるので、少しでも相手を知るため、なるべく現場に足を運び、声をかけるようにしています。顔と名前も早く覚えます。工場で作業服を着ている状態で認識しているので、本社でスーツ姿で会うと、誰だっけ?となることもありますが(笑)。
プレイヤーもマネージャーも含め、チームが一丸となり、課題を解決できたときは一体感が生じ、喜びを共有できます。食物アレルギーに対する社会的な関心や行政の指導が強まるなか、我々の業界でも厳しく管理するようになりました。アレルゲン物質は微量でも影響を与えるため、混入を避け、従来は同じ生産ラインで作っていた製品を別ラインに切り替える、生産工程を組み替えるなどして、解決しました。安全性を厳守し、しかも生産性も落とさない方法です。みんなで知恵を出し合い、悩み、クリアできた事例です。 品質管理は、問題がなくて当たり前、何もないこと自体も喜びと言えます。平穏な日々を積み上げていくことが、達成感につながるのです。会社の信頼、消費者の方の安全・安心を守れることが、我々の最大の誇りです。
工場で勤務していた頃、私のジャッジに誤りがあり、大きな問題に結びついてしまったことがあります。各部の担当者にも多大な迷惑をかけ、血の気が引いていくような感じでした。そんな中、カスタマーサービス担当の大先輩が、「大変だねえ。頑張ってね」と言葉をかけてくださいました。本来なら、怒鳴られても仕方ない状況なのに。優しく思いやりのある言葉に、グッときました。当社には、本当に人柄のよい社員が多いなあと思います。
大学時代にボートをやっていました。8人乗りのレガッタ。インカレにも出場しました。申し込めばどの学校でも出られるんですが(笑)。魅力は、今の仕事と通じていて、エイトが力を合わせる「ハーモナイズ」です。名古屋工場勤務時代に一人乗りボートを買って、今でも時々乗っています。東京に転勤になった際、一緒に連れて帰ってきました。