日清フーズの国内自社工場は館林と名古屋にあり、私は館林工場での勤務が長く、今回名古屋に赴任し、両工場を経験したことになります。私のキャリアは、常に「生産」と向き合うものでした。最初は生産設備の包装機を開発し、当時手がけた1号機はまだ名古屋工場で稼動しています。今考えると、名古屋との因縁はその頃からあったようですね(笑)。次に配属された部署では省エネ担当になり、全国の生産現場を回り、生産施設と設備の見聞を広め、人的ネットワークを深めました。 30歳越えてから、館林で初めての工場勤務。4年間で総額20億円規模の工事に関わり、ラインの新設や増設を担当しました。なかなか安定生産に至らず、工期に追われ、設計・施工管理から雑用や掃除までなんでもやり、猫の手も借りたいという状況ながら、モノ作りに真剣に対峙したと断言できる期間でした。同時に、自信もつきました。あの苦労を乗り越えたんだから、なんだってできるぞ!と。
管理職になって戻った館林工場では、品質や環境に関する国際規格ISOの認証取得やAIBの活動で奔走しました。AIBは、ISOより具体的で実践的な製品安全の評価システムです。その活動を通し、「全員参加」という意味を体感しました。言葉では簡単だけど、非常に難しい。誰も自分の業務以外はやりたくありませんから。ところが、「これは食品会社には絶対必要なんだ」と言い続けるうちに、みんなが少しずつ同調し、変わっていき、一つにまとまっていった。全員参加の大きなエネルギーを感じました。 このときの仕事も、現職の名古屋工場でのマネジメント業務も、建設プロジェクトも、多くの人を束ねるという点では同じ。名古屋工場は、社員100名弱、パートさんなども含めると250名体制の大所帯です。できるだけ現場を回り、先入観なく人の意見を聞き、自分の考えを伝え、明確な目標を設定しています。私も技術者の一人だという矜持を忘れず、新しい人たちに「便利屋になるな」「プライドを持て」と伝える努力も欠かせません。工場では日々さまざまな出来事が起き、変化し続けています。素早い対応が求められるため、日頃から自分の中でいつも優先順位を考え、判断がズレないように準備しています。
生産部門の魅力は、なんと言っても「自分の仕事が残る」こと。特に工学系の人間は、生産機械や設備を協力メーカーさんと一緒に作ることになりますが、それが目に見えて残る。私が新人時代に開発した設備がまだ使われているように。これは嬉しいものです。 日清フーズは、人をとても大切にしている会社だと思います。やる気さえあれば、いくらでもやれる環境を作ってくれる。私の志望動機も、先輩から「入社して早々に何十億ものビッグプロジェクトを任せてもらえた」と聞いたからです。実際、そのとおりでした。今、同じメッセージを学生さんたちに伝えたいと思います。
館林工場でのAIBの活動は、長いキャリアの中でもとりわけ印象深いものです。社員はもちろん、派遣やパートの人たちも一体となり、成し得たことですから。AIBは、総合評価で等級が分けられるのですが、私たちは最上級の「優(スーペリア)」と評価され、ゴールド認定書をもらいました。全員の努力の集積であり、それはもう、感動的でした。他にも館林では各種表彰を受けており、その賞金を基にみんなでパーティーも開催しました。
名古屋に転勤になり、単身赴任なので独りであちこち探索しています。真っ先に、伊勢神宮には参拝してきました。工場の操業は「神頼み」的な部分もありますから(笑)、安全祈願の参拝は必須です。ひととおり中京圏の観光名所は巡り、今はもっぱら近所をウォーキング。途中で美味しそうな店を発見したら寄る。健康と楽しみのバランスを考えながら。