
学生の皆さんに向けたメッセージは、明るい未来を提示するのが常道でしょうが、私はまず、皆さんに、日清製粉グループを取り巻く環境の「現実」をお伝えしたいと思います。
「食」の世界において大きな動きがあったここ1〜2年は、未来から過去を振り返った時にエポック・メーキングな年として認識されているだろうと考えています。皆さんもご存じのとおり、ここ暫く原油や穀物相場の高騰が続きました。そこには、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)など新興国家の発展に伴う需要増や、バイオ燃料需要等、地球環境問題への取組みがあります。これらによる原油や穀物相場の水準修正は一時的ではなく構造的なものと捉えています。
しかし、私はこの流れを否定的にはとらえていません。日本等の先進国は、例えば中国の安価な労働力により生産のコストダウンを図り、大いに恩恵を受けてきました。そして、それにより中国も経済が発展し、生活水準も上がって、巨大な需要国となりました。私たちは先に恩恵を受けてきたのですから、今度は、私たちがそのコストを払う番なのです。そして所得が増加し、生活水準も向上した中国等の新興諸国はわが社の海外戦略における最も有望な市場の一つとなったのです。
一方、食品の安全・安心に対する消費者の関心はますます高まってきています。かつて「日本人は空気と水と安全保障はタダと思っている」と言われたことがあります。それと同じように「食の安全・安心」の確保のために多大なコストがかけられていることはどれ程理解されているでしょうか。当社は100年の歴史の中で「食の安全・安心」に対して多くの人的・物的資源を投下してきました。「安全・安心」に相応のコストが必要なのは当然であり、消費者の方にもその点の理解を深めていただかなければなりません。
しかし一方で「食の安全・安心」にはこれで十分ということはありません。食品メーカーである限り、生産現場だけでなくあらゆる職場において、全役員・社員が「これで良いのか、問題はないのか」と自らに常に問いかけることが必要です。この姿勢、対応が消費者の皆様の信頼を得る原点です。 |